When the Going Gets Dark (Dig)

When the Going Gets Dark (Dig)


いいですね。艶っぽい。

ミックスはスリーター・キニーの最新作に続いてデイヴ・フリッドマンが担当し、奇妙なのにポップ、聴きやすいのにどこかタガのはずれたサイケデリック感覚溢れる傑作です。


Heart Food

Heart Food


シンガー/ソングライター、ジュディ・シルのセカンドにしてラストアルバム。真摯でポップなシンガーソングライターアルバムです。が。2曲目 "the kiss" は姿勢を正されるような、目を醒まされるような、すごい曲。CDで聴くのもいいですが、やはり、THE OLD GREY WHISTLE TEST VOLUME 2 [DVD] のDVDでのピアノ弾き語り映像の衝撃を皆さんにも見て欲しい。DVDにエピソードとして語られていたことには、こんな優しくて哀しいヒリリ繊細な曲をやる人が、演奏前にひとこと「もうバカなロックスターの前座はいやだから、お願いだからアルバムを買って」と無表情で言って演奏をはじめるという衝撃。優等生みたいな生真面目そうな見た目からは想像もつかない、ハードな人生を送って、夭折。この人が何を考えて歌ったり、何を考えて生きていたのか、知りたい。
XTCアンディ・パートリッジが屈折した愛情をライナーノーツに綴っています。

詳しいことが書いてあるので勝手に引用しちゃいます。

この "The Kiss" という歌は、アメリカの女性シンガー・ソング・ライターであるジュディ・シルの作品です。ジュディ・シルは同時期に活躍したジョニ・ミッチェルローラ・ニーロ、そしてエスラ・モホークといった個性的なアーティストと同様に、多くの素晴らしい歌を残しています。
 彼女は、恵まれない家庭環境から孤独な幼少期を過ごし、10代で武装強盗の罪により少年院の生活を経験することになります。彼女は少年院の教会で宗教音楽に出会い大きな影響を受けたそうです。離婚や再婚も経験し、彼女はヘロインにのめり込み悪習を繰り返すようになります。中毒症状からヘロインを入手するため、数多くの犯罪に手を染めることになって、ついに逮捕されてしまいます。
 服役中にヘロイン中毒を克服した彼女は、それから素晴らしい音楽をつくり出すようになるのですが、まさに第二の人生のただ中で、彼女は交通事故による後遺症を背負ってしまうことになります。その苦痛からのがれるために、彼女は再び薬物に手を出しはじめ、ついに薬物の過剰摂取で命を落としてしまうことになるのです。
 こんなに美しい歌は聴いたことがありません。この歌は多くの苦しみの中で汚れてしまった自分を歌っているんですね。この歌は、彼女の祈りの歌でもあったんだと思います。
 かつて彼女はこの歌について、「自分とは正反対のものと結ばれていることを歌った歌。キスはその象徴」と語っていました。
 これは苦しみの中で生きる者の、魂の救いの歌でもあるような気がしてなりません。